金魚の病気、「尾ぐされ病」に関して、実践的な治し方と症状に加えて効果のある薬をまとめて紹介しています。
ある日突然、大切に飼育している金魚の尾びれが溶け出した!
よく見ると、、他のひれもぼろぼろになっていて、金魚もいつもより元気がないような、、。
金魚のひれが溶けたり、ボロボロになっている場合、尾ぐされ病であることが考えられます。
実際に育てている金魚が尾ぐされ病になると、ボロボロになったヒレの痛々しい見た目から、困惑する方も多いでしょう。
尾ぐされ病は、金魚の病気の中でもとても頻繁に発生する病気です。
金魚の尾ぐされ病は、適切な治療ができれば完治させることが可能です。
今回は、大切に飼育している金魚の尾ぐされ病を治療したいあなたにとって、最適な情報をお届けします。
今まで何となく治療していた方や、一度も治療に成功したことがない方も、この機会に尾ぐされ病の原因と基本的な治療方法の再確認を行いましょう。
この記事では、みなさんのインスタグラムでの投稿をピックアップし、金魚の尾ぐされ病の画像を閲覧できるようにしております。
投稿の最後に、尾ぐされ病の治療で行う薬浴や塩浴に便利な濃度計算表(自動計算)へのリンクを掲載しています。
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尾ぐされ病の初期症状(尾びれの上部に欠けが発生している)
尾ぐされ病とは、その名の通り「尾びれが腐ったようにボロボロになっていく」病気です。
重症化すると尾びれだけでなく、胸びれや腹びれも溶けてボロボロになり、泳ぐこともできなくなります。
進行が早い病気であり、金魚はみるみるうちに衰弱し、最後は死んでしまう怖い病気です。
尾ぐされ病は金魚だけの病気ではなく、メダカや熱帯魚などの淡水魚全般で確認されています。
尾ぐされ病は、他の金魚の病気に比べてそれほど治療が難しい病気ではなく、初期に発見し、適切な治療をすることで治すことができます。
腐ってボロボロになってしまった尾びれも、ゆっくりと再生します。
金魚の病気の中でも特に進行が早い病気のため、何より早期発見、早期治療が重要です。
尾ぐされ病の症状に関して、初期症状と末期症状のそれぞれを紹介しています。
初期の早い段階で発見し、適切な薬を使用して治療すればほぼ確実に完治可能です。
飼育している金魚が尾ぐされ病かどうかを見分ける参考にしてください。
初期症状
尾ぐされ病の初期症状は、ひれに白いモヤモヤした粒が付着したり、尾びれの先がうっすら白くなってきたりします。
初見では、白点病や白雲病と見分けがつけづらいですが、チェックするポイントとして、尾ぐされ病は「基本的にヒレや口のみに発症する」ことが挙げられます。
ヒレではなく、体の表面に白い点やモヤモヤがついている場合は、尾ぐされ病ではなく、白点病や白雲病、水カビ病の可能性が高いです。
見分ける際は白い点が、ヒレだけについているか、身体にも広がっているかを必ず確認するようにしてください。
末期症状
尾ぐされ病が末期症状まで進行し、重症化すると、尾が裂けたようになり泳ぐことができなくなります。
カラムナリス菌は全身のヒレに広がりながら、金魚の口やエラにも拡大します。
治療を適切に行わなかった場合は、多くのケースでエラが溶ける(エラぐされ病)に発展し、金魚は呼吸ができないことで死に至ります。
金魚のエラ病と呼ばれる病気にも、寄生虫が原因のものと、実際は尾ぐされ病の原因菌であるカラムナリス菌が原因のものとの2通り存在しています。
尾ぐされ病は一度発症すると塩浴や水換えだけで完治することはほとんどなく、効果のある薬を使用した適切な治療が必要です。
溶けたヒレは再生するのか
尾ぐされ病で溶けたヒレは基本的に元通り再生します。
ですが元々ヒレが長い品種や、症状が悪化した状態からの回復だと、100%元通りにはなりません。
できるだけ早く見つけて、ヒレが本格的に溶ける前に適切な治療をする必要があります。
確実に見つけるポイントとして、常に「全身のヒレを確認する」ことが挙げられます。
- 全身のヒレをくまなく確認しましょう。尾ぐされ病は、「尾」の表記からどうしても尾びれに注目しがちですが、意外にも初期の段階では他のヒレで発生し始めていることが多いです。
- 種類にもよりますが、金魚には尾びれ、胸びれ、背びれ、腹びれの4種類のヒレがあります。もれなく、全て確認しましょう。少しでも欠けがあれば、尾ぐされ病である可能性が高いです
尾ぐされ病は、金魚がカラムナリス菌と呼ばれる細菌に感染することで発症します。
カラムナリス菌は、赤斑病で紹介したエロモナス菌と同じ常在菌で、金魚が住んでいるところにはどこにでも生息しています。
カラムナリス菌に感染する原因は、主に水質の悪化による菌の増殖と、金魚の抵抗力の低下です。
金魚だけでなく、生き物の体はタンパク質で構成されています。
感染したカラムナリス菌が、タンパク質を溶かす物質を分泌するため、尾びれに感染すると尾びれが、口に感染すると口が溶けるといった症状が現れます。
尾が溶ける症状を尾ぐされ病と言うのに対し、口が溶ける症状を口ぐされ病と言います。
どちらも、同じカラムナリス菌が金魚に感染することによって発症します。
金魚を飼育していると非常に高確率で遭遇する尾ぐされ病ですが、自然治癒するのでしょうか?
結論からお伝えすると、尾ぐされ病は「自然治癒はしない」と考えるようにしてください。
稀に、水換えをして水を清潔に保つだけで治ったというような紹介がありますが、ほとんどのケースで尾ぐされ病は自然治癒しません。
金魚は野生には存在しない生き物です。
そのため、細菌や寄生虫への抵抗力がとても弱く、尾ぐされ病だけでなく、ほとんどの病気が自然治癒しません。
尾ぐされ病は進行が早い病気ですので、発見したら自然治癒に期待せず、1時間でも早くこれから紹介する治療を行ってください。
水槽内で尾ぐされ病の金魚がいる場合、他の金魚にうつるのかどうかに関してですが、多くの場合尾ぐされ病はうつります。
厳密にはうつるのではなく、同じ環境で生活している金魚は、多くの場合同じように抵抗力が弱まり、増殖したカラムナリス菌に感染している状況です。
稀に特定の個体だけ抵抗力が強いことから同時に発症しないことがありますが、1匹でも尾ぐされ病を発症している時点で既存の金魚には好ましくない環境です。
飼育環境の見直しと水槽の大規模な水換え、またはリセットが必要になります。
尾ぐされ病の治療方法を、それぞれ実践的な内容で順番にまとめています。
大切な金魚が尾ぐされ病になった方はぜひ、参考にしてください。
最低でも半分以上、できれば全量の水換えを行いましょう。
尾ぐされ病は直接的に金魚にうつる病気ではないものの、一度発症した水槽には原因菌であるカラムナリス菌が大量に繁殖しています。
水質が汚染されており、他の金魚も抵抗力が下がっている状態ですので、治療を開始する前に水換えで環境を整えましょう。
1匹で金魚を飼育している場合を除き、尾ぐされ病になっている金魚をトリートメントタンクに移動します。
タンクは、バケツや大きめのタライでも構いませんが、これを機に安価な薬浴用の水槽を購入しておきましょう。
金魚の移動のやり方に関してはこちらにまとめています。
移動が完了したら、塩浴を実施しましょう。
尾ぐされ病では塩浴は効果がないといった記述も見受けられますが、そもそも塩浴は殺菌ではなく金魚の自
然治癒力を高めるために行っています。
金魚がゆったりと過ごせる状態を塩浴で整え、殺菌は薬浴で実施することで尾ぐされ病を治療することができます。
塩浴に使用する塩は、専用のものを購入するか、市販の「塩化ナトリウム100%」の食塩を使用するようにしてください。
最後に、薬浴を実施しましょう。
使用する薬は、できるだけ黄色い薬を使用するようにします。
具体的にはグリーンFゴールド顆粒や、エルバージュエースなどの抗菌薬です。
尾ぐされ病の原因菌は「カラムナリス菌」という細菌であることから、一撃で治療することができます。
1. 水換えをする
尾ぐされ病の原因菌である、カラムナリス菌は、水質の悪化によって増殖します。
水質が悪化する最大の原因は、水換えの不足です。
金魚は人が想像するよりもはるかに排泄物の量が多く、水を汚しやすい生き物です。
食べ残しがなくても、水が透き通っていても、水換えを怠っていると水質はみるみるうちに悪化し、細菌の温床になっています。
水を汚しやすい金魚には、バクテリアろ過だけでは水質の維持は期待できません。
尾ぐされ病だけでなく、金魚の飼育では少しでも異変があったら水換えを行うことを徹底しましょう。
このとき、フィルターもしっかりと掃除するようにしてください。
尾ぐされ病が発生している時点で、「バクテリア」による水質の浄化はすでに機能していません。
⬇︎【金魚の水換えの正しいやり方に関してはこちらにまとめています。】
⬇︎【金魚と水に関してはこちらに詳しくまとめています。】
2. 金魚をトリートメントタンクに移動する
金魚を移動する際の注意点として、必ず「水合わせ」を丁寧に行うようにしてください。
尾ぐされ病になっている金魚は元気そうに見えても、確実に「弱っている」ため、環境の変化には敏感です。
水合わせをきちんと行わないまま移動をし、さらに体調をくずしてしまうとどんなに塩浴や薬浴を適切に行なっても効果はありません。
治療を成功させるためにも、水合わせに関して一度復習をしてから取り組むようにしてください。
⬇︎【金魚の水合わせに関してはこちらの記事にまとめています】
3. 塩浴を行う
尾ぐされ病は、赤斑病や白点病のように、塩浴だけの治療では回復が非常に困難です。
理由としては、原因菌であるカラムナリス菌は塩水でも生存が可能であり、直接的な治療にならないためです。
ですが、後述する薬浴との併用で回復を早めるという意味では塩浴は効果的です。
真水の中で生活する金魚は、常に体内と体外の浸透圧を調整しています。
塩浴は基本的に0.5%の濃度と言われています。
これも、金魚の体内と同じくらいの浸透圧にすることで、調整の負担を最小限に減らし、病気の回復に専念できる環境を整えることを意味します。
⬇︎【金魚の塩浴の方法に関してはこちらを参考にしてください】
4. 薬浴を行う
水換えと塩浴、水温の調整が終わったら薬浴を行います。
尾ぐされ病には、効果の高い薬が存在するため、用法・容量を守って試用すれば短期間での回復が見込めます。
尾ぐされ病に効果的な薬のうち、代表的なものはこちらです。
尾ぐされ病におすすめのある薬
上記3種類の薬のうち、おすすめは「グリーンFゴールド顆粒」と「エルバージュエース」になります。
グリーンFゴールドは、赤斑病など、細菌性の病気であれば幅広い病気への効果が見込めるため、この機会に購入してストックしておくことをオススメします。
尾ぐされ病に効果のある薬として、このサイトでは「黄色い粉末の薬」をおすすめしています。
粉末状の薬であるグリーンFゴールドやエルバージュエースは、薬浴に最適な量の計量が難しいのが難点です。
薬の濃度の計算なんてできない!というあなたのために、誰でも数百円のコストで確実な濃度を計量できる方法を紹介しています。
⬇︎【金魚の薬の量り方に関してはこちらにまとめています】
金魚の薬浴にまだ慣れていない方向けに、薬浴の方法を丁寧に紹介しています。
⬇︎【金魚の薬浴の方法に関してはこちらをご覧ください】
尾ぐされ病とメチレンブルー
尾ぐされ病の治療にメチレンブルーを使用している事例を見かけますが、ほとんど効果がありません。
本来、メチレンブルーは白点病や水カビ病に一定の効果がある薬(染色液)です。
尾ぐされ病はカラムナリス菌という細菌が金魚の体内に感染して発症する病気ですので、抗菌成分の含まれている薬しか効果を見込めません。
グリーンFやグリーンFリキッドには、抗菌成分のほか、メチレンブルーも含まれているため、薬浴中の写真は「いかにもメチレンブルー単体での薬浴に見える」ことから、一定数の方が「尾ぐされ病をメチレンブルーで治療している」と勘違いしているケースが見受けられます。
メチレンブルー単体を使用しても、尾ぐされ病にはほとんど効果がないため、くれぐれも注意するようにしてください。
⬇︎【金魚飼育とメチレンブルーに関してはこちらにまとめています。】
グリーンFリキッドやグリーンF(粉末)などの青色の薬に関しても、尾ぐされ病には一定の効果があります。
これらの薬にはアクリノールという抗菌成分が配合されていることから、初期〜中期の尾ぐされ病であれば効果は認められています。
これらの薬は白点病や水カビ病などの病気でも使用することができるため、常備薬として一本持っておけば安心です。
ですが実体験として、グリーンFゴールド顆粒やエルバージュエースといった細菌性の感染症に特化した「黄色い薬」の方が尾ぐされ病には圧倒的に早く、確実に効果があります。
尾ぐされ病は進行が非常に早い病気であることから、一回の薬浴で確実に治療をするためにも当サイトではこれらの薬での確実な治療を推奨しています。
※もちろん、グリーンF系の薬も黄色い薬がすぐに手に入らない場合の選択肢としてはアリですよ。
尾ぐされ病の対策をする上で重要なポイントをピックアップしています。
尾ぐされ病は感染してから回復までのスパンも長く、できるだけ「感染を未然に防ぐ」ことが重要です。
感染を未然に防ぐ対策として、こちらのポイントを押さえて飼育するようにしましょう。
- 水換えをこまめに行う
- 寒暖差の大きい季節に注意する
水換えをこまめに行う
尾ぐされ病の原因金である「カラムナリス菌」は、金魚が生活しているところであればどこにでも生息している「常在菌」です。
カラムナリス菌が増殖する原因として「水中の有機物の増加」が挙げられます。
簡単にいうと、水が汚れていればカラムナリス菌は増殖します。
もちろんカラムナリス菌が多くいる環境の方が金魚が尾ぐされ病に感染するリスクも高いため、普段から水換えをこまめに行い、水が汚れない状況を作る必要があります。
よくある重大な勘違いに、「バクテリアが汚れを分解してくれる」というものがありますがl、これは「水が汚れない」ということを意味するのではありません。
金魚の糞やエサの食べ残しなどの有機物が「分解されてなくなる」ことはあり得ません。
どこまで「分解」されたとしても物体である有機物は必ず水槽内やフィルターに蓄積します。
蓄積した有機物は「汚れ」としてカラムナリス菌の増殖の原因になります。
本来、バクテリアの存在意義は金魚に有害なアンモニアや亜硝酸を無害な物質に変えることであり、有機物の分解ではありません。
有機物の蓄積は「水換え」でしか取り除けません。
必ず、こまめに水換えを行うようにしましょう。
金魚の飼育とバクテリアに関してはこちらにまとめています。
寒暖差の大きい季節に注意する
尾ぐされ病だけでなく、金魚の病気全般に言えることですが、寒暖差の大きい季節は特に水質の悪化やエサのやり過ぎに注意してください。
金魚は変温動物であることから、水温の変化がダイレクトに体調に影響します。
特に、水温の変化が激しい春や秋などの季節には、金魚の抵抗力も大幅に落ちています。
当然、普段の抵抗力だと感染しないような病気に感染するリスクも高くなっているため、寒暖差の大きい季節は特に、水質に注意する様にしましょう。
尾ぐされ病の原因菌であるカラムナリス菌は、水温が20度以上で活発に活動するようになり、26度〜28度付近で爆発的に増殖します。
そのため、尾ぐされ病は春の終わりから秋の始まりまでの比較的暖かい季節に増加する傾向にあります。
夏場は仕方ありませんが、春や秋に発生した場合は治療にヒーターは使用せず、できるだけ水温を低めに保つことで早く治療を行うことができます。
冬季に持ち帰った金魚をヒーターで飼育した際に発症することが多いのも、カラムナリス菌が「高水温が好き」であることが関係しています。
尾ぐされ病以外の金魚の病気では、夏場以外は「治療にはヒーターを用いる」のが一般的ですが、尾ぐされ病だけは逆の対応を行う方がいいことを覚えておいてください。
※夏場は仕方ないので、塩浴+薬浴の力でカラムナリス菌を撃退しましょう。
尾ぐされ病は感染の発見から完治までのスパンが長く、一度発症してしまうと飼育者の治療の負担も非常に大きい病気です。
ですが早期に発見し適切な治療を行えば、必ず直すことができる病気でもあります。
尾ぐされ病の原因の多くは「水質の悪化」であるため、普段の飼育からこまめな水換えを行うなど、基本的な飼育方法をきっちりと実践し続けることが重要です。
金魚を飼育していると、白点病や赤斑病に続いて遭遇することの多い病気でもあります。
適切な治療方法をマスターし、今後の金魚ライフを充実した日々にしていただけますと幸いです。
飼育している金魚が尾ぐされ病以外の病気の疑いがある場合はこちらの記事で病名を探してみましょう。
⬇︎【金魚の病気の種類に関してはこちら】