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プラジプロ(prazipro)の効果と使い方|寄生虫治療の強い味方!

金魚やどじょう、熱帯魚を飼育している方に向けて、プラジプロの効果と使い方を紹介しています。

アクアリウムで熱帯魚や金魚、どじょうの飼育をしていると、寄生虫症は避けては通れない病気です。

ほとんどの寄生虫症が、国内で販売されている薬で解決できますが、中には全く効果がない寄生虫症も存在します。

寄生虫の中には肉眼では確認できないものも多数存在し、市販の寄生虫薬で効果がないため、見落としてしまっていることも多いのが現状です。

今回は、ウオジラミやイカリムシとは異なり、「肉眼では見えない(見えても駆除できない)」寄生虫症の強い味方、プラジプロ(Prazipro)の効果と使い方に関して、わかりやすく紹介しています。

金魚や熱帯魚を原因不明の病気で亡くすことがよくある方、金魚やどじょうの体表に原因不明のイボイボがある方はぜひ参考にしてください。

この記事に関して

この記事では写真の紹介に、ツイッター、インスタグラムの投稿をピックアップし、プラジプロ(prazipro)の実例や写真を閲覧できるようにしております。

また投稿の最後に、薬浴や塩浴に便利な濃度計算表(自動計算)へのリンクを掲載しています。

誰でも完璧な濃度で薬や塩の量の計算ができます。ぜひご利用ください。

プラジプロ(Prazipro)とは

Hikariブランドでよく知られている日本企業、「カミハタグルーブ」がアメリカでのみ製造販売している魚病薬です。

アメリカではもう10年以上前から販売されている非常にメジャーな薬であるものの、日本国内では薬事法という法律の関係上、現在も製造販売が行われていません。

プラジプロは有効成分である「プラジカンテル」が肉眼ではほとんど確認できない、エラや体表、体内の臓器に寄生する目にはほとんど見えない小さな寄生虫(主に吸虫)に対して高い効果があります。

反対に、ウオジラミやイカリムシなど、肉眼ではっきりと確認できる寄生虫には効果がありません。

これらは寄生虫の中でも節足動物の部類になり、国内で市販されている薬ではレスバーミン(旧:リフィッシュ)が特効薬となります。

手に入りにくいのが難点ではあるものの、プラジプロは液体状の薬であり、容量は水量15リットルあたり1mlとコストパフォーマンスが非常に高いです。

無色透明であり、水草の育成や水中のバクテリアへの悪影響はなく、とても使いやすい薬です。

プラジプロ(Prazipro)の効果

プラジプロが効果のある寄生虫をまとめています。

どれも聞き慣れない名前の寄生虫ですが、実際に金魚や熱帯魚、どじょう等の観賞魚に寄生し、宿主を死に至らせる寄生虫です。

この機会にぜひ覚えておきましょう。

ダクチロギルス

主に金魚や観賞魚の「エラ病」の原因となる吸虫性の寄生虫です。

サイズは0.8mm前後であり、エラに寄生した個体を肉眼で発見するのは非常に難しいです。

春から秋の高水温時に爆発的に飼育施設内で繁殖し、主にエラに寄生するため、感染された魚は呼吸困難に陥り命を落とします。

特に、ワイルド個体の観賞魚にはほぼ必ず寄生している寄生虫です。

数が少ないと問題ありませんが、増えすぎるとエラが損傷を起こし、エラ病を発症させます。

熱帯魚だけでなく、金魚のエラ病の原因虫としても有名です。

エラ病に関してはこの記事の後半で詳しく紹介しています。

プラジプロ薬浴の代用である、高濃度塩浴に関しても紹介しています。

ギロダクチルス

金魚や観賞魚の全身(エラ、体表、ヒレ)に寄生して体液を吸う寄生虫吸虫)です。

大きさは0.5mm前後であり、ダクチロギルスよりもさらに小さく、こちらも肉眼での発見は困難です。

稀に、真っ黒な体表の金魚場合は、小さな細長い粒々として確認することができますが、よほど目が良い方を除いて、肉眼での発見は難しいです。

全身に広がることから、寄生された個体は粘液を異常に分泌し、体表がうっすら白くなります。

ギロダクチルス、ダクチロギルスに感染した個体は、初期症状としてはどこか元気がなく、時折身体をブルブルと震わせたり、水槽やレイアウトに身体を突然すりつけるような仕草をします。

末期症状では、全身に広がったのち、エラにまで寄生されることにより呼吸が困難になることから、エラをあまり動かさず(または過剰に動かしながら)水中を力なく漂うようになります。

大きめの水槽だと、エアーレーションを入れていれば、その近くでじっとしていることが多くなるのもこの頃です。

飼育者は外見上の異常を見つけにくいため、できるだけ早い段階でプラジプロか高濃度塩浴による治療が必要です。

サナダムシ(ボツリオセファルス等)

金魚や観賞魚に直接的な害はないものの、プラジプロで治療が可能な寄生虫です。

主に魚の腸に寄生し、寄生された魚は栄養の吸収効率が下がることから、成長しずらくなります。

腸内に寄生することから生体が生きている間に見つけることはほぼ不可能です。

後述するクリノストマムやギロダクチルスに対して、プラジプロで駆虫した際に副次的に駆除される寄生虫になります。

クリノストマム症

寄生虫であるメタセルカリア(吸虫)が金魚やどじょう、観賞魚の体内に寄生する病気です。

体表だけでなく口や顎の周りに寄生することが多く、寄生された個体は皮膚の直下にパール状のしこりが複数確認されます。

メタセルカリアは、モノアラガイという巻貝を第一中間宿主としており、一度体外へ出て水中を漂う際に魚類に寄生します。

最終宿主はサギなどの鳥類であり、寄生された魚類がサギに食べられることで生体になります。

どじょうやコリドラスなどの底層で生活する魚類での発症が多いことが有名ですが、金魚やその他の熱帯魚での感染も頻発しています。

プラジプロでの治療では、「体内に寄生したメタセルカリアが体表を食い破って出てくる」ため、寄生された部位によっては治療を行わないという手もあります。

プラジプロが効く寄生虫はどれもとても小さく、肉眼では確認が難しかったり、体内に寄生したりする寄生虫です。

そのため、多くの方はこれらどれかの寄生虫症を疑ったタイミングでプラジプロを使用することになります。

実際には、ギロダクチルス、ダクチロギルス系の寄生虫にも数十種類の種類が存在し、症状は微妙に異なります。

イカリムシやウオジラミ(チョウ)以外の寄生虫症には幅広く、強い効果があるため、「目視はできないが寄生虫症の疑いがある場合はプラジプロを使用する」で問題ありません。

プラジプロ(Prazipro)が効く魚の病気

エラ病

主にダクチロギルスが原因で起こるエラ病に強い効果があります。

エラ病は主に金魚やディスカスで頻発し、発症から死亡までが非常に早いため、早期発見と適切な治療が求められます。

寄生虫によるエラ病であれば、本記事のプラジプロによる治療か、リンク内で紹介している高濃度塩浴での治療が最適です。

ですがエラ病には「細菌(カラムナリス菌)由来」のものも存在し、その場合はエルバージュエースグリーンFゴールド顆粒での薬浴が必要です。

⬇︎【エラ病に関してはこちらの記事に詳しく紹介しています】

吸虫症(ギロダクチルス、ダクチロギルス)

主にギロダクチルス、ダクチロギルスが原因で起こる吸虫症にも高い効果があります。

金魚や観賞魚が体表を水槽に擦り付けたり、ブルブルと震えるような仕草を頻繁にする場合は、ほぼ間違いなくこれらの寄生虫が体表に寄生しています。

そもそも、多くの魚類にもともと寄生している寄生虫であり、「量が増えすぎる」ことが問題です。

量が増える原因については詳細はわかっていませんが、抵抗力や体力の低下が最も大きいというのが通説です。

金魚の原因不明の「ボーッと」した症状や、「底に沈んでじっとしている症状」も多くはこの寄生虫が原因であり、早急にエラ病の治療と同じ治療を行う必要があります。

そんな時、プラジプロ(prazipro)があれば極めて早いスピードで治療が完了できます。

クリノストマム症

前述した通り、プラジプロはメタセルカリア(吸虫)の特効薬でもあります。

この寄生虫は、最終宿主がサギなどの鳥類であることから、捕食されやすいように、魚類に寄生した際は出来るだけ体内の外側で生活をします。

皮膚のすぐ下まで移動するため、寄生された個体は頭部やアゴの周辺、体表に丸いパール状の粒が確認されます。

クリノストマム症にはプラジプロが特効薬となり、確実に駆虫ができます。

ギロダクチルス、ダクチロギルスと異なり、メタセルカリアは高濃度塩浴では駆虫できません。

注意点として、駆虫される際にメタセルカリアが表皮を突き破って体外に飛び出すため、寄生部位によっては魚体に深刻なダメージがあります。

とはいえ寄生されたままでも、いつメタセルカリアが臓器を傷つけるかわかりません。

リスクは承知しつつ、プラジプロでの駆虫を進める必要があります。

原因不明の不調

金魚や観賞魚を飼育していると、外観は全く問題ないにも関わらず、どこか泳ぎがいつもと違ったり、じっとして動かなくなることがあります。

明らかに異常があるはずなのに、どうしても原因がわからない。

そんな時も、一度寄生虫症を疑ってみることをおすすめします。

ギロダクチルスやダクチロギルス、その他の目視で発見しずらい寄生虫が寄生している可能性があるからです。

水槽内のバクテリアへの影響がなく、他の薬との併用も可能なプラジプロは、原因がわからない不調の特効薬としても優秀な魚病薬となります。

実際に、効果があるときはプラジプロの投入直後から対象魚は身体をブルブルと振るわせ(寄生中が反応し、魚体から離れる)、数日で快方することが多いです。

プラジプロ(Prazipro)の使い方

プラジプロの使い方を紹介しています。

手元にプラジプロがあればすぐに実践できる内容をまとめています。

ぜひ、参考にしてください。

水槽の水換えを行う

プラジプロを使用する上でとても重要なのが「水換え」を行うことです。

プラジプロの薬浴は7日間ワンセットを複数回繰り返します。

水質が悪い状態だと薬浴中に他の感染症を引き起こすため、まず水槽の水を換えて整えておきます。

プラジプロを投入する

計量したプラジプロを水槽にそのまま投入します。

この時、容量は「水15リットルに対して1ml」です。

市販のピペットやシリンジを使用して正確に計量するようにしましょう。

※ダイソーでも販売されています。

プラジプロは、他の魚病薬と異なり、「水槽内の微生物(バクテリア)」に悪影響がありません。

そのため、対象魚が複数いる場合は隔離せず、水槽を丸ごとプラジプロで駆虫できます。

7日後水換えを行う

薬浴開始から7日間を目処に、一度水換えを行います。

この時、再度投入する水にも同じ容量でプラジプロを投入しておきます。

7日間薬浴を行い終了

再度7日間薬浴を継続し、対象魚の状態をみて終了します。

寄生虫症であった場合、多くのケースで元気になっているはずです。

効果が見られない場合、寄生虫症以外の病気が考えられます。

⬇︎【金魚や熱帯魚の病気の種類に関してはこちらに詳しくまとめています。】

いつも通り飼育を継続する

プラジプロは寄生虫以外の微生物への悪影響がないため、対象魚が回復していればそのまま飼育を続けて問題ありません。

プラジプロはこれまで見えなかった寄生虫への治療効果の高さと、水中のバクテリアや魚本体への副作用の少なさから、新規導入時の「トリートメント」に使用されることも多いです。

トリートメントに関してはこちらの記事にまとめています。

金魚飼育者向けですが、内容は熱帯魚や観賞魚でももちろん実践いただけるようにまとめています。

⬇︎【新規導入時のトリートメントのやり方と重要性に関して】

プラジプロ(Prazipro)使用上の注意点

プラジプロの使用の注意点を紹介しています。

目に見えない寄生虫の治療には非常に優秀な薬ですが、対象を間違えると全く効果がありません。

以下の項目に当てはまらないことを必ず確認してから、治療に臨んでください。

イカリムシやウオジラミには効かない

プラジプロが効果を出すのは、吸虫と呼ばれるタイプの寄生虫です。

イカリムシ、ウオジラミは甲殻類と親戚の節足動物ですので、プラジプロが効きません。

これらの寄生虫は目視でハッキリと確認可能ですので、見つけ次第、市販の「レスバーミン」で治療を行うようにしましょう。

⬇︎【イカリムシ、ウオジラミに関してはこちらに詳しくまとめています。】

⬇︎【レスバーミンの使い方はこちら】

白点病やツリガネムシ症にも効かない

同じく寄生虫が原因の白点病やツリガネムシ症にも効果がありません。

こちらもはっきりと目視で発見できることに加え、特効薬も非常に手軽に入手できます。

それぞれ、効果のある薬と症状、治療方法をまとめています。

白点病やツリガネムシ症の疑いがある場合はこちらの記事をご覧ください。

⬇︎【ツリガネムシ症の症状と治療方法はこちら】

水に溶けづらい|塩浴を併用しない

プラジプロに使用されている成分は「水」に非常に溶けづらく、「塩浴」との併用も推奨されていません。

使用してみるとわかりますが、投入直後に油膜が水面に広がり、エアーレーションの気泡がとても細かく変化します。

水に溶けるというよりも、無理やり混ぜるといった使用方法になり、国内で販売されているどの薬とも使用感が異なります。

塩水だとさらに溶けづらくなるため、塩浴との併用も行わないようにしましょう。

バクテリアへの悪影響は皆無

プラジプロは他の観賞魚の薬と異なり、「水中のバクテリア」への悪影響がありません。

すでに生物循環が完成している水槽にそのまま入れても問題ないため、隔離が難しかったり、水槽全体に寄生虫症が蔓延している場合はとても重宝します。

プラジプロ以外のほとんどの薬は、水槽内の良いバクテリアも駆除してしまいます。

とはいえ、こと金魚の飼育においてはバクテリアに過度に期待した飼育は禁物です。

詳しくはこちらの記事にまとめています。

熱帯魚の飼育も十数年おこなっていますが、バクテリアを大事にするあまり「水に手を入れる」ことを怖がりすぎて、

初めはうまくいっていたのに、ある日突然愛魚がいなくなる、、といった状況の方は多いです。

アクアリウムにハマっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

プラジプロ(Prazipro)を使いこなそう!

プラジプロ(Prazipro)は、入手こそ難しいものの、一見目視ではわからない寄生虫症全般に効果が高いことから、非常におすすめの薬になります。

金魚やどじょうなど、国内で繁殖されている個体にも、見えない寄生虫症は多く確認されており、外傷のない原因不明の不調のほとんどが寄生虫症だと言われています。

プラジプロは塩浴との併用こそできないものの、「他の魚病薬との併用」は可能であるため、「エラ病」などの原因が細菌性の感染症と見分けづらい病気の際も非常に重宝します。

プラジプロの入手方法に関しては、詳細をこちらの記事にまとめていますので、アクアリウムや金魚の飼育を本格的に行いたい方は是非一度、検討をしてみてください。

⬇︎【プラジプロ(prazipro)の入手方法代用の高濃度塩浴に関してはこちらで紹介しています】


金魚の薬|濃度計算表(まとめ)

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