金魚の塩浴のやり方と注意点に関して、塩浴を実施しようとしている方に向けて実践的な内容を紹介しています。
金魚が病気になってしまったとき、「塩浴(塩水浴)」はとても有効な治療方法です。
金魚に元気がない時や、何だかいつもより「ぼーっと」している時も、塩浴をするだけで元気に泳ぎだす、なんてことは日常茶飯事です。
金魚飼育において、塩浴(塩水浴)のやり方マスターすることは、大切な金魚を長く飼育する上で必須のスキルです。
今回は、金魚の塩浴ってよく聞くけどそのやり方がわからない方や、これまで何度も塩浴をおこなってきたけどうまくいかなかった方にとって最適な情報をお届けします。
塩浴の濃度にいつも迷ってしまう方に向けて、金魚の状態別の塩浴の濃度に関しても詳しくまとめています。
塩浴の始め方から終わり方まで、この記事を読めば塩浴が完璧にできるようになります。
ぜひ、最後までご覧下さい。
この記事では写真の紹介に、インスタグラムでの投稿をピックアップし、金魚の塩浴シーンの画像を閲覧できるようにしております。
また投稿の最後に、塩浴に使用する塩の量が自動計算できる濃度計算表(自動計算)へのリンクを掲載しています。
誰でも完璧な濃度で、塩浴の濃度計算ができます。ぜひご利用ください。
金魚の塩浴(塩水浴)とは
塩浴とは、金魚の飼育水槽に「塩」を入れることで金魚の自然治癒力を高める治療方法です。
金魚は淡水の生き物だから、塩を入れると死んでしまうんじゃないかと思うかもしれませんが、心配ありません。
舐めてみて塩味がするくらいの塩水でも、金魚は真水より元気に泳いでいます。
金魚だけでなく、淡水で生活する魚のほとんどは、一定濃度までの塩水であれば元気に生活することができます。
塩浴は金魚の病気の治療全般で実施されており、ほとんどの病気においてまず塩浴を実施してから指定の薬での薬浴を行います。
塩浴の適切なやり方をマスターすることは、金魚の飼育を安全に行う上で非常に重要です。
今日からこの記事の内容を実践し、やり方をマスターしていきましょう。
金魚の塩浴の効果
金魚の塩浴には、「金魚の自然治癒力を向上させる」効果があります。
金魚を含む淡水に生息する魚は、周囲を真水に囲まれています。
皆さんも、プールにずっと入っていると、手の皮がしわしわになってきた経験があると思います。
それは、真水に触れていると、体表の細胞から水分が抜けてしまうため、結果として肌の水分が失われ、しわしわになってしまう現象です。
金魚も基本的には同じで、一生を真水の中で暮らしている金魚は、そのままだと体表から水中へ常に水分が抜けてしまいます。
この抜け続けてしまう水分を、抜けないようにするために、金魚は体内の浸透圧を常に調整しています。
水槽に塩をいれると、この金魚の体内と周囲の水の浸透圧の差が小さくなり、金魚が常に行なっている浸透圧の調整による体の負担が軽くなります。
体調不良や、病気になっている金魚は負担が軽くなった分、回復に専念することができます。
「自然治癒力を向上させる効果」というよりも、「金魚の水中での生活の負担を軽くする効果」と言った方が適切かもしれません。
ちなみに金魚の体内の塩分濃度は0.5%ほどであり、塩浴の基本的な濃度設定が0.5%であるのもそのためです。
塩浴の濃度に関しては、金魚の状態や治療内容によって0.2%〜0.5%ほどで調整するのがおすすめです。
塩浴用の塩を計量している様子
金魚の塩浴のやり方
金魚の塩浴のやり方はとても簡単です。
水槽に、市販の食塩を入れるだけ、です。
この時、塩は必ず「にがり」の入っていないものを使用するようにしてください。
入れる塩の量は、濃度0.3%〜0.5%の間で調整します。
例えば、45cm水槽で水量が45ℓの場合、0.3%の濃度で塩を135g、0.5%の濃度だと、225gを水槽に直接投入します。
塩浴に必要な塩の量を、水槽のサイズや塩浴用の容器の水量に合わせて、誰でもワンクリックで計算できる計算表を無料で公開しております。
濃度に応じた塩の量だけでなく、薬浴に使用する薬の量まで計量することができます。
ぜひ、ご活用ください。
慣れないうちは、投入する塩の量の多さに少し気が引けてしまうかもしれません。
ですが安心して、大切な金魚が泳いでいる水槽に投入して大丈夫です。
ゆっくり塩水にならすことを意識しながら、5回〜10回ほどに分けた量を、2日ほどかけて投入するようにしましょう。
いきなり全部の量を投下すると、金魚の身体が水質の変化についていけず、逆に大きく負担をかけてしまうため、必ず複数回に分けて投入するようにしてください。
金魚の塩浴のやり方の手順
金魚の塩浴を行う上で、実践的なやり方を紹介しています。
金魚飼育のテクニックに関してもリンクを記載しているので、適宜調べながら実践をしてください。
塩浴だけを行う場合
塩浴を行う前に、必ず水槽の水を半分以上水換えしましょう。
金魚の不調の多くは水の不調に起因しています。
塩浴を行う背景も、多くは水が原因であることが多いため、まず水換えを行いましょう。
金魚の水換えに関してはこちら
水槽のサイズを測る際、高さは水面までを測るようにしてください。
水槽のガラスのサイズを測らないように注意しましょう。
奥行き、横、高さを測ったら、こちらの計算表に入力しましょう。
入力後、塩浴したい濃度を入力してボタンを押すだけで、必要な塩の量が計算されます。
塩の量は市販の電子メーターを使って必ず正確に計量しましょう。
普段お料理で使用する方はそのまま使用し、持っていない方は必ず購入するようにしましょう。
金魚の飼育で塩浴の出番は非常に多いです。利用頻度も考えればそれほど高い買い物ではありません。
塩は複数回に分けて水槽に入れます。
一気に全ての量を入れないように注意しましょう。
また、塩はゆっくりと溶かす方が金魚への負担が少ないため、完全に溶けるまで放置しましょう。
早く溶かそうとして決してかき混ぜないでください。
この時、金魚が塩を食べることがありますが、なんの問題もありません。
理想は5回以上、最低でも3回に分けて塩が完全に溶けたら入れることを繰り返してください。
まずは3日間、塩浴を行いましょう。
理想は4日目に一度水換えを行います。
このとき新しく入れる水の量をはかり、水槽と同じ塩分濃度になるよう塩を投入し、完全に溶かした塩水を投入しましょう。
水換えの水に、あらかじめ塩を入れておくイメージです。
必要量は計算表で計算しましょう。
何らかの病気に感染していない限り、ほとんどの確率で金魚は元気に泳ぎ回っているはずです。
それでも調子が悪そうな場合、金魚は病気になっている可能性があります。
金魚の病気に関してはこちらにまとめているため、一度調べてみることをおすすめします。
前半3日、後半4日間と、合計7日間塩浴を行って金魚が元気になったら、水を半分換えましょう。
このとき、新しく入れる水は「カルキを抜いた真水」です。
この水換えで塩分濃度は半分になります。
さらに水を半分換えましょう。
これで塩分濃度は塩浴当初と比べて1/4になります。
ここまで塩分濃度が下がれば、もう通常通りの水換えと飼育を行って問題ありません。
金魚は「新しい水」が大好きですので、最低でも週に1回以上は水換えを行いましょう。
金魚と水に関してはこちらにまとめています。
塩浴+薬浴を行う場合
塩浴だけでなく薬浴も行う場合、金魚を移動する必要があります。
金魚を移動させる場所のことを、トリートメントタンクと呼びます。
トリートメントタンクは、小さめの水槽や、大きめのバケツ等で問題ありません。
金魚の移動のやり方に関してはこちらに記載しています。
ここからは、前述した塩浴を行う手順のSTEP6までをトリートメントタンクで実施します。
塩浴までが完了したら、薬浴を開始します。
病気の種類に合った薬を、水槽のサイズに合わせて計算表で計算し、投入します。
この時、薬液も塩と同じく3回ほどに分けて投入するようにしましょう。
金魚の薬浴の方法に関してはこちらにまとめています。
金魚の薬の使い方のリンクも掲載されています。
水換えは全体量の半分ほど行いましょう。
新しい水を入れるときは、水の水量に応じた塩と、薬液を投入し、よく混ぜてから入れるようにしましょう。
そのまま、塩浴と薬浴を続けましょう。
7日目には、多くの病気の症状がストップしているはずです。
まだ病気の症状が続いている場合、STEP4-5をもう1週間繰り返しましょう。
症状がストップしている場合は、「真水」での水換えに切り替えましょう。
終了する場合、週に2回、半分ずつ水換えをしていきます。
2週間ほどでトリートメントタンクの水質は真水に近づくため、金魚をもといた水槽に戻してあげましょう。
金魚の薬浴を実施する上で、「金魚の薬の量り方や使い方」をきちんとマスターする必要があります。
今日から使える実践的な方法をまとめています。ぜひ参考にしてください。
塩浴に使用する塩は、基本的になんでもいいのですが、オススメは岩塩です。
理由としては、岩塩は結晶が大きいため、水槽に投入した際ゆっくりと溶けます。
前述したように、あまり溶けやすすぎると急激に浸透圧が変化してしまうため、金魚の負担になりかねません。
岩塩だけでなく、金魚専用の塩も販売されているので、それを利用するのもオススメします。
岩塩や市販の金魚専用の塩の利用に慣れてきたら、よくスーパーで見かける「食塩」と記載されているものでも十分対応できます。
市販の食塩を利用する場合は、岩塩に比べてやや溶けやすすぎるため、利用する際は何回かに分けて投入するようにしましょう。
注意点として、にがりが含まれている塩は金魚にとって有害ですので、絶対に使用しないようにしましょう。
非常に便利で万能な塩浴ですが、注意点もいくつかあります。
- 塩を溶かすときはかき混ぜない
- 長期間塩浴を行いすぎない
- 水質の悪化に注意
- にがりの入った塩は使わない
①塩を溶かすときはかき混ぜない
塩浴を始める際、1番初めは塩を金魚がいる水槽に直接投入します。
この時、塩は入れたまま、ゆっくりと自然に溶かしてください。
決して水をかき混ぜて溶かすようなことはしないでください。
特に岩塩だと、金魚が塩を食べてしまうこともありますが、全く問題ありません。
塩浴をしはじめのタイミングでは、金魚を塩水に慣らす必要があります。
急激な塩分濃度の上昇はかえって金魚にダメージを与えます。
塩を入れたら、ゆっくりそのまま、溶けるまで放置しましょう。
②長期間塩浴を行いすぎない
塩浴を行うことで、金魚の負担は軽くなり、体調不良や病気の改善にも効果が非常に高いです。
ですが、あまりに長期間にわたって塩浴を行うと、金魚自身の浸透圧の調節機能が弱くなるだけでなく、体表をおおう粘液の分泌も少なくなってしまうことがわかっています。
粘膜の分泌が少なくなると、感染症にかかりやすくなることもあり、金魚にとってデメリットの方が多くなってしまいます。
塩浴は2週間ほどを期限とし、その後はいつも通り真水での水換えをしながら、徐々に塩分濃度を低くしていくようにしてください。
③水質の悪化に注意する
塩浴中は、真水で飼育している時と同じように餌を与えて大丈夫です。
ですが注意点として、水は塩を含むと腐りやすくなります。
飼育している金魚の数にもよりますが、いつもより水質が悪化しやすい環境になっていることを考慮し、水換えの回数にも注意しましょう。
水を換える際は、水槽の半分の水を換える場合は半分の塩を入れた水を投入するなど、適宜調整をしてください。
金魚の水換えに関してはこちら
④にがりの入った塩は使わない
塩水浴で使用する塩は、必ず岩塩か食塩を使用するようにしましょう。
おすすめは岩塩ですが、市販の塩化ナトリウム(食塩)でも全く問題ありません。
よく「海の塩」として販売されているにがりという成分が含まれた高級な塩は絶対に使用しないようにしてください。
にがりの主成分は「マグネシウム」であり、含有量が増えると金魚に有害です。
水質をアルカリ性に傾ける作用もあるため、ただでさえ体調を崩している金魚にとどめを刺しかねません。
金魚の塩水浴では、岩塩か市販の安価な塩(塩化ナトリウムのみの記載のもの)を使用することを徹底してください。
塩浴の濃度に関して、金魚の状態別におすすめの濃度をまとめています。
よく塩浴は、0.2%〜0.5%が良いと紹介されますが、0.2と0.5では濃度が2倍以上異なります。
金魚の状態によって、塩浴の適切は異なります。
ぜひ参考にしてください。
金魚がぼーっとしている場合
金魚がぼーっとしている場合、金魚はまず間違いなく体調を崩しかけています。
金魚は本来、日中は常に泳ぎ続けている生き物です。
ぼーっとしているのが夜ではなく、日中である場合、まず水換えと塩浴で様子を見ましょう。
金魚の体表に異常がない場合は、塩浴の推奨濃度は0.2%-0.3%です。
金魚のトリートメントを行う場合
金魚のトリートメントを行う場合、推奨濃度は0.3%です。
トリートメントでの塩浴は、金魚の疲れを癒し、体力の回復を行う目的があります。
体力の回復が目的であれば、塩水の濃度は0.3%で十分です。
薬浴も併用する場合が多いため、薬の濃度にも気をつけるようにしましょう。
金魚のトリートメントに関してはこちらにまとめています。
金魚の病気を治療する場合
金魚の病気の治療を行う場合も、薬浴と併用して塩浴はよく行われます。
金魚が何らかの病気になっている場合、塩水の濃度は0.5%に調整しましょう。
金魚は病気により弱っており、残っている体力は少しでも多く病気の治療に使わなければなりません。
そのため、金魚の体内と最も近い濃度である0.5%に塩水を調整することで、金魚の体力を十分に温存できます。
金魚が病気=塩水の濃度は0.5%と覚えておきましょう。
塩浴の効果が一定以上認められている金魚の病気を紹介しています。
注意点として、「必ず塩浴だけで治る」というわけではありません。
塩浴だけで治療できるかどうかは、病気の種類と進行状況によって大きく異なり、よほど経験を積んだ飼育者でも判断が困難です。
とにかく塩浴を行えば病気が治るという「塩浴信仰」は間違いであり、塩浴は薬浴と共に行う「補助的なもの」として考えると、病気の治療が上手になります。
それぞれの病気の塩浴と併用した治療方法は、各リンクのサイト内で紹介しています。
この記事でマスターした塩浴のやり方を、ぜひ病気の治療に活用してみてください。
「何かあったらまず塩浴」が金魚飼育の基本です。
塩浴をマスターすれば、いざ金魚が病気になった際も、病名や治療薬がわからなくても即座に塩浴での応急処置ができます。
簡単かつ万能な塩浴で、金魚のトラブルを回避し、楽しい金魚ライフを送りましょう。
金魚の病気に関してはこちら
金魚の病気の種類に関してはこちら