金魚の卵に関して、実際に飼育している金魚が卵を産んだ時を想定して詳細に紹介しています。
卵の見た目や孵化までの経過と育て方、無精卵の見分け方もわかりやすくまとめています。
金魚を飼育していると、水槽の中にまんまるな粒々がたくさんあるシーンに遭遇します。
金魚の繁殖にまだ挑戦したことのない多くの方は、「気がつくとたくさんの白い粒々が水槽に散りばめられている」のが、卵との初対面だと思います。
この記事では、そんな突然やってくる「金魚の卵」に関して、まだ卵を見たことがない方にもわかりやすく紹介しています。
ぜひ、突然やってくる金魚の産卵に備えてこの記事を参考にしてみてください。
この記事では、記事内の写真の紹介に、ツイッター、インスタグラムの投稿をピックアップし、金魚の卵の写真を閲覧できるようにしております。
また投稿の最後に、薬浴や塩浴に便利な濃度計算表(自動計算)へのリンクを掲載しています。
誰でも完璧な濃度で薬や塩の量の計算ができます。ぜひご利用ください。
金魚が卵を産むとき
金魚が卵を産む時期
金魚が卵を産む時期は主に「春」です。
まだ寒暖差の大きい3月ごろから始まり、暖かくなる6月ごろまで全国各地で金魚の産卵が行われます。
水温の上昇や低下が金魚の産卵スイッチには欠かせません。
そのため、冬季にお迎えした金魚を室内に移動した際や、ヒーターで加温をした際も産卵を行うことがあります。
抱卵している金魚のお腹
抱卵しているメスの金魚のお腹は個体差はあるものの、ハリがあり、膨らんでいます。
ぱんぱんに膨らむ個体もいれば、若干ふっくらとしている程度でも産卵を行う個体もいます。
オスの金魚は「追星」と呼ばれる特徴的な白い粒々がエラの周辺や胸ビレの付け根から外側にかけて出現します。
オスの追星はメスの卵に放精できるサインであり、オスは抱卵したメスを追いかけ、腹部をつついて刺激することで産卵を促します。
⬇︎【金魚の産卵の時期と兆候に関してはこちらに詳しくまとめています。】
卵を産みずぎる金魚
金魚はこれでもかというぐらい卵を産みます。
一回の産卵で少なくとも数百個、多いときは数千個の卵を産みます。
春の産卵期にはそれを3回〜4回ほど繰り返すため、多いときは合計数万個の卵を産みます。
金魚の産卵に慣れていない方にとっては「産みすぎ」と思われるかもしれません。
ですが、数万個いる卵のうち、無事に孵化して1年間生存できる数は、品種にもよりますが非常に少ないです。
これが2年間となると数百匹くらいにまで減少します。
奇形の個体もたくさん含まれており、生存率を加味すると産みすぎというわけでもありません。
金魚の卵詰まり
産卵期の金魚が発症しやすい病気の中に「卵詰まり」があります。
これは抱卵したメスの金魚が、何らかの原因で産卵できないことで起こります。
対処方法として、塩浴やエプソムソルト浴、温度の調整、オスの金魚の変更や腹部のマッサージなどが挙げられますが、確立された治療方法は存在しません。
金魚の卵詰まりに関しても、近日中に詳細と対処方法をまとめた記事を掲載する予定です。
金魚の卵の見た目
金魚の卵はどんなものなのかと、まだ見たことがない方や、初めて卵を見る方は不安になることがあると思います。
ここでは金魚の卵の見た目の特徴を紹介しています。参考にしてください。
卵の大きさ
金魚の卵の大きさは1mm〜1.5mmほどと、とても小さいです。
親魚は10cmを超えることから、卵の大きさとのギャップに驚く方も多いと思います。
大きさはとても小さいものの、多いときで5000個以上産卵するため、水槽内は良くも悪くも、産卵を目視で発見できる状況になります。
卵の色
金魚の卵の色は産卵された直後は無色透明です。
メスの金魚の産卵とともにオスが放精し、無事に受精できた受精卵は「やや透明感のある黄色」になります。
受精できなかった無精卵は「白濁色」に変化するため、色の違いは一目瞭然です。
白い卵は無精卵
前述したように、白い卵は全て「無精卵」です。
白くなっている時点で産卵から数時間経過しており、生きている卵ではありません。
生モノですので、放置すると水カビが発生するとともに急激に水質を悪化させます。
水質の悪化は親金魚の体調不良につながるため、急いで水換えを行いましょう。
金魚が卵を産んだ時の注意点
金魚が卵を産んだときの注意点をまとめています。
どれも短期間で大量に卵を産む金魚特有の注意点です。
金魚が産卵した際は、卵を育てる育てないに関わらず、必ず参考にするようにしてください。
金魚は卵を食べます
金魚は産卵した卵を美味しそうにものすごい勢いで食べてしまいます。
有精卵、無精卵のどちらも関係なく食べます。
食べて親魚の栄養になるのであればまだマシなのですが、卵は親魚にとって消化しにくいものであり、即消化不良を起こします。
消化不良は金魚にとってあらゆる病気の温床となるため、できるだけ卵を食べさせない対処が必要です。
具体的には、「親魚を別の水槽に移動する」方法がおすすめです。
⬇︎【金魚の消化不良に関してはこちらにまとめています。】
卵は放置しない
産卵された卵が無精卵の場合は「絶対に放置しない」ようにしましょう。
無精卵は生きていないため、放置すると即腐敗し水質を急激に悪化させます。
繁殖を行う意思がない場合は、基本的に産卵が行われた水槽はフィルターごと丸洗いし、リセットするようにしてください。
このときバクテリア等、せっかく作った水が気になる方も多いと思います。
ですが金魚にとって重要なのはバクテリアよりも「新鮮な水」です。
生モノである卵の水質悪化力は極めて強力ですので、産卵=リセット(やり直し)と捉えるようにしてください。
⬇︎【金魚の飼育と水に関してはこちらにまとめています。】
エアレーションはしっかりと
繁殖を行いたい場合は、親魚を移動させた上でエアレーションを行うようにしてください。
卵にとって新鮮な水と、十分な酸素の供給は健康に生まれてくる上で非常に重要です。
金魚の卵は産卵から孵化までが3日ほどと、非常に早いペースで経過が変わるため、産卵を確認したらできるだけ早くエアレーションと無精卵の選別を行うようにしてください。
産まれたばかりの卵にとって、1時間は非常に大きな意味を持ちます。
繁殖を行いたい場合は、少しでも早く対応することが重要です。
金魚の無精卵の見分け方
無精卵の見分け方はとても簡単で、「色が白い卵」は全て無精卵です。
有精卵は透明感のある黄色をしており、無精卵とはっきりと見分けることができます。
前提として、大量に産まれた金魚の卵のうち、無精卵だけを完全に除去することはできません。
無精卵は1日で水カビが発生しますが、近くに有精卵があると水カビは有精卵にまで拡大してしまいます。
無精卵は可能な限り、発見次第取り除くのが望ましいのですが、なかなか時間が取れない方も多いと思います。
ここでは代表的な金魚の卵の管理方法を紹介しています。
金魚の卵の育て方
金魚の卵の育て方を紹介しています。
ポイントは無精卵や死んだ有精卵への水カビの抑制と新鮮な水の管理です。
メチレンブルーでの管理
無精卵を含めた金魚の卵の管理方法として代表的なものが「メチレンブルー」を投与する方法です。
これには、メチレンブルーによって無精卵に発生する「水カビ」を防ぐ効果があります。
水カビは強力で、一度発生すると付近の有精卵にも拡大するため、孵化まで発生を抑制することで孵化率を高めることができます。
注意点として、メチレンブルーは卵には無害ですが生まれたての稚魚には有害です。
投与する量は規定の濃度の1/10を目安にごく薄めに行うことと、孵化の直前を見極めて水換えを行う必要があります。
メチレンブルーは光によって成分が分解される性質があるため、稚魚の孵化のタイミングを見計らって投薬を行うのも一つの手です。
具体的には、産卵後3日ほどで孵化する水温が25度以上の場合は産卵直後に1回だけ、
5日〜1週間ほどで孵化する水温20度前後の場合は孵化直後に1回、3日目に1回といったイメージです。
水換えを行う
水換えを行うことも卵の孵化率を上げる上で非常に重要です。
金魚が卵を産んだ直後の水は基本的に濁っており、水質は非常に悪い状態です。
産卵を確認し、有精卵を発見したらまず水換えを行いましょう。
このとき、卵は水槽の側面やろ過機などにくっついているため、決して無理に剥がさないようにしてください。
卵の粘着性は強力なので、無理に剥がすと卵そのものが割れたり、傷ついたりしてしまいます。
無精卵はできるだけ除去しながら、水換えを行い、前述したメチレンブルーでの薬浴を行なってください。
水が新鮮なだけでも、水カビの発生はある程度防げます。
メチレンブルーを再投与する際は、投与の前に水換えを行うようにしましょう。
水道水での卵の管理を推奨している情報が見受けられますが、このサイトではおすすめしていません。
そもそも、水道水で管理する理由として「カルキによる水カビの抑制」があります。
元々水道水は人間が飲んでも問題ないよう、消毒を行う目的でカルキが含まれています。これは、卵に発生する水カビにももちろん効果があり、本来なら金魚に有害なカルキも卵の段階であれば無害であることも事実です。
ですが金魚の卵は孵化までの日数が非常に短く、稚魚にとってカルキは猛毒であるため、慣れていないと扱いが非常に難しいです。
メチレンブルーは元々細胞を染色する染色液であり、稚魚への毒性も低く、きちんと孵化前の水換えができれば問題ありません。そのためこのサイトではメチレンブルーと水換えでの管理を推奨しています。
金魚の卵が孵化するまで
金魚の卵の孵化について、孵化日数と孵化までの経過をまとめています。
できるだけたくさん孵化をさせるためにも、金魚の卵についての知識を深めていきましょう。
孵化日数
金魚の卵の孵化日数は「水温」によって異なります。
おおよその目安を記載していますので、孵化までの日数の目安にしてください。
金魚の産卵は春に行われることが多く、ほとんどの卵は20度よりも低い、17度ほどの水温で産卵されます。
このくらいの温度だと、孵化までの日数は7日ほどになります。
20度を超える水温になると4日〜5日ほどで孵化することが多いです。
金魚と同じく観賞魚として人気の高いメダカの卵は水温が25度でも10日ほどかかるため、金魚の卵の孵化日数は非常に早いです。
水温が26度以上ある場合、卵は最短3日ほどで孵化します。
最高30度ほどの水温でも問題なく孵化し、それ以上の温度になると死んでしまう割合が高くなります。
初夏に産卵がされた場合は、日中は水温が高くなることが多く、非常に早いペースで卵は稚魚になります。
稚魚の餌の用意など、卵の管理と同時進行で進める必要があります。
⬇︎【稚魚の餌に関してはこちらに詳しくまとめています。】
孵化までの経過
卵の産卵から孵化までの経過について、水温が20度前の場合を例に紹介しています。
水温がより高い場合は、こちらの経過がより早いテンポで進行していきます。
無精卵と有精卵の区別がはっきりできるようになります。前者は白く濁った色になり、後者は黄色い透明な色になります。
取り除ける状況であれば無精卵を取り除き、可能であれば規定濃度の1/10に希釈した薄めのメチレンブルーを投入しておきましょう。
無精卵に水カビが発生します。有精卵の中でも、途中で発達が止まってしまったものは白濁し水カビが発生し始めます。
有精卵は黄色の透明感が増し、よく見ると細胞のようなものが確認できます。
受精卵にうっすらと稚魚の目が確認できます。
このとき、無精卵や死んだ有精卵への水カビも勢いを増すため注意が必要です。
取り除けるものは取り除き、可能であれば水換えを行いましょう。
目が確認できるようになると、卵は産卵直後とはうってかわってやわらかくなります。
手では絶対に触れないようにし、そっと水換えを行うようにしましょう。
肉眼でもはっきりと卵の中の稚魚が確認できるようになります。
黒い目はよりはっきりと、目の周りの銀色の部分まで確認できるようになります。
100時間を超えたあたりから続々と孵化が始まります。
産まれたばかりの稚魚は底にじっとしており、水中を泳ぎ出すまでに2日ほどかかります。
このタイミングでの水換えは初心者には非常に難易度が高いため、できるだけ孵化前の卵の段階で水を新鮮にしておくようにしてください。
金魚の稚魚は孵化して数日はじっと底で沈んで動きません。
お腹にはヨークサックと呼ばれる産まれてから数日間生きるのに必要な栄養を蓄えています。
ヨークサックの栄養を摂取し終わると、稚魚は餌を求めて泳ぎ出すため、このタイミングで適切な餌を準備している必要があります。
⬇︎【金魚の稚魚の餌に関してはこちらに詳しく紹介しています。】
金魚を卵から育ててみよう!
卵から産まれてくるさまざまな形や色の稚魚の中から、自分の好みの金魚を育てることは、金魚の繁殖に挑戦した人だけの特権です。
産卵から稚魚の飼育までをきちんと行うのは非常に重労働ですが、それに見合う経験ができるのが繁殖です。
お気に入りの金魚が卵を産んだら、ぜひ一度でもいいので卵を育ててみてください。
⬇︎【金魚の卵の産み方や生態に関してはこちらで紹介しています。】