金魚の産卵の時期と兆候、繁殖方法に関して初めて実施する方にもわかりやすく紹介しています。
ある日突然、水槽が真っ白に濁っている、、。金魚が卵を産みだした!!
金魚を長く飼育していると、誰もが経験する突然の産卵。
金魚は生命力が強く、水槽内に多頭飼育を行っていると、大量に卵を産むことがあります。
たくさんの稚魚を育てながら、お気に入りの体系やカラーの子を自ら飼育できるのも、金魚飼育の醍醐味です。
ぜひ、この記事を読んで金魚の産卵に挑戦してみてください。
この記事では、記事内の写真の紹介に、ツイッター、インスタグラムの投稿をピックアップし、金魚の産卵の写真を閲覧できるようにしております。
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金魚の産卵時期
金魚が産卵するのは主に春です。
水温に変化があるタイミングに金魚は発情し、活発に産卵を行います。
秋に産卵することも多く、暖かい地方だと3月ごろから春の産卵が開始され、秋の産卵は11月に行われることもあります。
品評会への参加を目標にしていたり、夏に販売目的で繁殖をおこなっている方は、越冬させている金魚を、2月ごろにヒーターで起こし、一足早く産卵を促します。
よく冬季に購入した金魚を室内で飼育した際に、いきなり産卵を始めるのも、温度が温かくなったことが原因です。
金魚の産卵スイッチは自然の寒暖差とリンクしており、暖かくなる時と、少し涼しくなる時に行われます。
そのため、金魚の繁殖を行いたい場合はなるべく屋外で飼育を行い、四季の温度変化を肌で感じさせることが重要です。
金魚の産卵の兆候
水温の上下があると、オスの金魚は発情し、メスは卵を産む準備に入ります。
金魚の産卵には特徴的な兆候があり、ここではオスの場合とメスの場合とでそれぞれ紹介していきます。
オスの金魚の場合
産卵期に入ると、オスの金魚は体表に「追星」と呼ばれる白い粒々のできものが発生します。
一見すると「白点病」と間違えがちですが、粒々ができる箇所はエラ蓋周りと胸鰭と限定的です。
白点病の場合は、全身にびっしりと白い点々が広がるため、一度経験したことがある方であればその違いは容易に見分けることができます。
追星が出現しているということは「オス」の金魚である証であり、この段階でいつでもメスが生んだ卵に放精できる状態となります。
メスの金魚を仕切りに追いかける仕草がみられるのもこのタイミングです。
メスの金魚の場合
メスの金魚の場合、産卵期に入ると腹部が全体的に膨らみます。
これは体内に卵を産んでいるからであり、場合によっては胴回りが2倍以上に大きくなります。
メスの金魚の産卵には個体差が大きく影響し、大きくお腹が膨らんでもなかなか産卵しない個体もいれば、それほど普段と変わらなくても、突然産卵をはじめる個体も存在します。
メスの場合は外見的な変化は腹部以外に現れず、オスに比べると産卵の兆候が分かりづらいです。
金魚の産卵はいつからいつまで?
金魚の産卵は数週間おきに複数回繰り返されます。
そのため産卵は数ヶ月に及ぶことが多く、3月から6月までは各地で金魚の産卵が行われています。
産卵自体は、早朝まだ暗い時間帯から明け方明るくなる頃までに行われることが多いです。
金魚の産卵の回数
金魚の産卵は、1週間〜2週間おきに合計で3回ほど繰り返されます。
多い個体だとこれが10数回に及ぶこともあります。
一度の産卵で生む数は最低でも数百個、体の大きいメスだと二千個以上になります。
そのため金魚に産卵をさせる場合は、最低でも数千個の卵を飼育、または処理する必要があります。
金魚の産卵の仕方
金魚の産卵の方法として、自然産卵と人工産卵の2通りが存在します。
それぞれ、具体的な方法を紹介します。
自然産卵
自然産卵はまず、十分に成熟し産卵期に突入したメスをオスが追いかけることから始まります。
この時、メスの腹部には卵が入っており、オスはメスの腹部をつつくような仕草を繰り返します。
メスは特定の場所に産卵を行う行動はせず、オスからの刺激に反応する形で産卵を行います。
オスは産卵された卵に放精することで卵は受精し、産卵が完了します。
1回の産卵でこれら一連のサイクルを数回〜数十回繰り返し、数百個〜数千個の卵を産卵します。
人工産卵
人工産卵は適切に実施できれば非常に効率が良く、金魚への負担も最小限に抑えることができる方法です。
まず、メスの金魚を仰向けにひっくり返し、腹部を胸鰭の下あたりから優しく肛門に向かって押しながらスライドさせます。
十分に成熟し、抱卵しているメスであれば指をそっと沿わすだけで黄色い透明な卵が採卵できます。
この時、採卵作業は洗面器などの比較的狭いスペースで行うのがおすすめです。
採卵ができたら次に、オスを仰向けにひっくり返し、同様の方法で放精させます。
洗面器の中の卵をゆっくり混ぜることで、放精させた精子をまんべんなく行き渡らせ受精させます。
この方法であれば、金魚が産卵後の卵を食べてしまうことはなく、未受精卵も少なくなるため産卵後の管理がとても楽に、安全になります。
産卵床を用意しよう
自然産卵を行う場合、金魚が産卵するための場所(産卵床)が必要です。
金魚は産むとなるとどこにでも卵を産んでしまうため、卵を産む行為そのものに産卵床は必要ありません。
産卵床を設置することのメリットは親魚による卵の捕食を防ぐことと、卵の管理を簡単にすることにあります。
金魚の卵は「粘着力」が非常に高いです。
一度くっつくと人間の指の力でも離れることはありません。
離す=潰すくらいの感覚で挑まないと離れません。
産卵床に金魚が産卵することで、金魚による産みたてのまだくっついていない卵の捕食が減ることに加え、卵の移動も産卵床を移動するだけなのでとても簡単になります。
産卵床は市販のものだけでなく、市販のビニール紐やネットで自作することも可能です。
詳しくはこちらの記事で紹介されています。わかりやすいのでおすすめです。
産卵床は市販のものも使いやすく便利でおすすめです。
楽天ではキョーリンから販売されている産卵床も購入できます。こちらも繊維が柔らかく、おすすめです。
大前提として、「金魚は産卵床があってもなくても卵を産む」ため、それほど精巧なものを作らなくても、金魚はしっかり産卵をしてくれます。
金魚に産卵させる際の注意点
金魚に産卵をさせる際の注意点に関して紹介しています。
金魚は人によって数百年に渡り品種改良がされてきた魚です。
そのため、産卵の際も人の手助けが欠かせません。
産卵前後の金魚ならではの注意点を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
産卵直前までオスをメスから隔離する
注意点として、産卵期における金魚は「オスの方が成熟が早い」です。
メスの産卵の準備が整う前に、オスはしきりにメスを追いかけるようになるため、水槽内という限られた環境ではメスが傷ついてしまうことも多いです。
オスに追星が出た場合は、まずメスとオスを分けて飼育するようにしましょう。
産卵が終わったら速やかに元の水槽へ
金魚は自分で産卵をした卵を、ものすごい勢いで美味しそうに食べてしまいます。
せっかく産んだ卵が食べられてしまうことも問題ですが、食べた親の金魚自身も消化不良によって体調を崩します。
多少の捕食は仕方がないですが、親魚まで体調を崩す可能性が高いため、できるだけ食べさせないようにする必要があります。
ベストな解決策として、産卵を行う場所と親魚を飼育する場所を別々にする方法があります。
産卵を確認次第、親魚は飼育用のスペースに移動させるようにしましょう。
⬇︎【移動の際はきちんと注意点を守るようにしてください。】
必ず毎日水換えをする
金魚の産卵が始まったら、必ず毎日水換えを行いましょう。
メスの金魚は卵を産み、オスの金魚は卵に対して放精を行います。
メスの卵の中でも受精しなかったものは急激に水質を悪化させるため、必ず毎日水換えを行いましょう。
卵のうちは水質の変化には強いため、稚魚が生まれてくる直前までできるだけ新鮮な水質を保つようにしてください。
もちろん、繁殖目的ではないのに金魚が卵を産んでしまった時も、大変ですが産卵期間中は毎日最低1回は水換えが必要になります。
生まれた稚魚はすぐに移動させる
金魚の卵は水温が20度ほどあれば5日〜7日ほどで孵化します。
この時、稚魚になるのは「受精卵のみ」です。
未受精卵に関しては、腐敗し、水質を急激に悪化させます。
見つけ次第取り除くのがベストですが、稚魚の孵化までが3日と短いこともあり、水換えを毎日行いながら生まれた稚魚をきれいな水に移動させる方が簡単で安全です。
稚魚は生まれ次第、大きめのスポイトで吸い取り、飼育用のスペースに移動するようにしてください。
⬇︎【スポイトは大きめのものが便利です。】
金魚の産卵、繁殖に挑戦してみよう
春は金魚の産卵シーズンです。
大好きな金魚の産卵と繁殖を経験することは、飼育者としてのステップアップをする上でとても重要です。
個性豊かな金魚を自分で育て、大きくしていく過程は、金魚の繁殖をした人だけが味わえる物語でもあります。
ぜひお気に入りの金魚の産卵と繁殖に挑戦してみてください。
⬇︎【卵の育て方に関してはこちら】
金魚の産卵が始まる春は、嬉しいシーズンであると同時に病気が頻発する怖いシーズンでもあります。
金魚の病気に関しては事前に勉強しておくことですぐに適切な治療を開始することができます。
⬇︎【金魚の病気に関してはこちら】