金魚の穴あき病について、症状と治療方法をわかりやすく紹介しています。
穴あき病は、その名の通り金魚の体の一部が溶け、穴が空いていく病気です。
見た目にも痛々しい病気ですが、穴あき病は早期に発見し、適切な治療を行えば完治できる病気です。
今回は、大切に育てている金魚が穴あき病に感染した方や、穴あき病の疑いがある方に向けて、最適な情報をお届けします。
ぜひ、最後までご覧ください。
この記事では写真の紹介に、インスタグラム上での投稿画像をピックアップし、金魚の穴あき病の画像を閲覧できるようにしております。
また投稿の最後に、穴あき病の薬浴に便利な濃度計算表(自動計算)へのリンクを掲載しています。
誰でも完璧な濃度で薬の計算ができます。ぜひご利用ください。
穴あき病の初期症状:鱗の下が白くふやけた様に盛り上がり、数日で鱗がはがれ傷口が露出する
穴あき病とは
穴あき病とは、その名の通り、金魚の体に穴があく感染症です。
見た目も非常に痛々しく、進行すると衰弱して死に至る病気であるにも関わらず、穴があく箇所によっては発見が遅れてしまうこともよくあります。
悪化すると完治が難しい、非常に厄介な感染症です。
いかに初期の段階で発見し、適切な治療を行えるかが重要になってきます。
穴あき病の原因
穴あき病は、赤斑病と同じ、細菌性の感染症です。
穴あき病を引き起こす原因菌は、「非定型エロモナス・サルエニシダ」と呼ばれる常在菌です。
常在菌ですので、基本的に金魚が生息している場所であればどこにでも存在しており、この菌を完全に駆除することは不可能です。
この細菌は、比較的低水温(15°C〜25°C)で増殖しやすく、特に春先や秋など、水温の変化が激しい時期に、金魚の抵抗力が弱まると感染します。
同じエロモナス菌が原因で引き起こされる金魚の病気に「赤斑病」や「松かさ病」がありますが、原因菌の正式名称は「エロモナス・ハイドロフィラ」と言います。
穴あき病の原因菌であるエロモナス・サルエニシダは非運動性であり、感染をした部位に留まり続けるのに対し、ハイドロフィラは運動性であり、感染後、全身に移行していくという点で違いがあります。
増殖温度も異なり、前者が15°C〜25°Cの比較的低水温を好むのに対し、後者は25°C以上の高水温を好みます。
穴あき病の治療では、エロモナス・サルエニシダの適温を理解し、いかに増殖を防ぐかがとても重要になってきます。
穴あき病の初期症状
穴あき病の初期症状は、赤斑病と非常に似ており、体表の鱗1、2枚が赤く炎症したようになります。
赤斑病と異なり、鱗単位で炎症しているように見えることがポイントです。
この段階で気づくことは稀ですが、体表に感染した細菌は、鱗→表皮→筋肉の順番で金魚の体を溶かしていきます。
鱗が欠落し、筋肉にまで穴があいている状態だと、傷口から水分が浸透圧の関係で流出するため、金魚へのダメージが大きいです。
非常に痛々しい傷口ですが、この段階で治療を行えば驚くほど綺麗に回復します。
鱗のサイズが傷口の部分だけ異なるサイズで再生してしまうことが多いため、なるべく穴があく前に治療してしまうことを心がけましょう。
穴あき病の治療方法
金魚の穴あき病の治療方法は確立されており、適切な手順で行えば完治が可能です。
大切な金魚が、元気に泳ぎ回る日を取り戻すために、ぜひこれから紹介する手順で実践をしてみてください。
①水を換える
穴あき病の治療に向かう上で、その後の治療が比較的長期間にわたることも加味し、先に水を換えてしまいましょう。
複数匹飼育している場合も、水中に原因菌であるエロモナスサルエニシダが増殖している可能性があるため、水は換えておきましょう。
水換えは、金魚の飼育環境の改善とリセットだけでなく、新陳代謝を高めることにもつながるため、必ず行うようにしましょう。
金魚の水換えの方法に関してはこちら
②塩浴を行う
塩浴も水換えと同時に行いましょう。
穴あき病に感染した金魚は患部が真水にさらされています。
これは金魚にとってとても負担になる状況ですので、塩浴を行うことで傷口の治療に専念してもらう意味があります。
塩浴は、治療用の水槽だけでなく、他の金魚が泳いでいる本水槽でも行うようにしましょう。
原因菌が水槽内で増加している場合、いつ他の金魚が発症するかがわからない状況だからです。
水中のバクテリアを気にされる方がいますが、塩浴を行った程度で水中に繁殖した良性のバクテリアは死滅しません。
塩浴の濃度は0.5%とし、飼育水槽/治療水槽のどちらでも行うようにしましょう。
⬇︎【塩浴に関してはこちらに実践的な内容を紹介しています。】
③水温を上げる
①と②の対応が終わったら、観賞魚用のヒーターを使って水の温度を上げます。
この時、塩浴は必ず継続します。
具体的には、最低28度、できれば32度くらいまで上げるのが理想です。
穴あき病の原因菌は、低水温を好むため、高水温には非常に弱いです。
実は穴あき病は、水温を上げるだけで治療することが可能です。
原因菌であるエロモナス・サルエニシダは32度で活動を停止し始め、34度で不活化します。
本来金魚自身にも抵抗力は備わっているため、温度を上げて菌の活動が停止すれば、穴あき病は驚くほど自然に回復していきます。
逆に、非運動性の細菌であることから一度感染してしまうと非常にしつこく、温度設定が中途半端(26度前後)な状況でいくら薬浴や塩浴を行ってもほとんど回復しません。
ヒーターがない場合は必ず購入し、水温を上げて治療を行うようにしましょう。
※注意点として、30度を超えると金魚の身体に大きな負担がかかります。そのため、最低でも1週間以上時間をかけながら、ゆっくりと温度を上げるようにしてください。春や秋などで水温差が10度を超える場合は、高水温による治療を一度諦める判断も重要です。
ヒーターは35度まで調整できるタイプが便利です。
もちろん、水温が30度を超えるような夏場などは、わざわざヒーターを設置する必要はありませんし、そもそも穴あき病は発生しません。
ヒーターを使って水温を上げる際の注意点として「必ず1日に1度ずつ上げる」ことがあげられます。
これでも、金魚からすると水温の急激な上昇となり、金魚にとって大きな負担になります。
必ずゆっくり、少しずつ上げるようにしましょう。
近年自動で26度設定される安価な観賞魚用ヒーターがありますが、電源を入れると一気に水温が上がることから、金魚の飼育での利用は推奨しません。
④薬浴を行う
温度の調整まで終わったら、いよいよ薬浴を開始します。
薬浴で穴あき病に効果がある薬は下記の通りです。
上記のうち、どの薬でも構いませんので、規定量を正確に計量し、飼育水に溶かします。
直接、餌に混ぜることで経口摂取をさせる方法もありますが、穴あき病だけに感染している場合は飼育水に溶かして使用する対応で十分です。
金魚の薬には誰にでも簡単にできる計り方があります。
濃度の計算なんてできない!とお困りのあなたにとって最適な情報をまとめています。
金魚の薬の計り方に関してはこちら
グリーンFゴールドリキッドと観パラDが穴あき病の特効薬です。
対象の金魚の病気が明らかに「穴あき病」である場合、迷わずどちらかの薬を購入、使用しましょう。
それぞれ薬浴の方法や薬の量り方をまとめています。
ぜひ参考にしてください。
薬浴の期間は、濃度にもよりますが1週間を目安とし、初めの1週間は「餌をあげない」でください。
金魚は生命力が強く、1ヶ月ほど餌がなくてもはびくともしません。
むしろ体調が悪く、隔離水槽に隔離されているタイミングで餌を食べてしまうと、水質の悪化から治る病気も治らなくなってしまいます。
餌の消化にも体力を使うため、病気の治療に専念するという意味でも、餌を抜くことで胃腸を休めてあげましょう。
7日経ったら1/3ほどの水換えと投薬をし、餌やりも通常の1/3程度で再開します。
水換えと投薬のサイクルを毎週繰り返し行うことで、個体にもよりますが、3週間もすれば元気に回復しているはずです。
金魚の薬浴の方法に関しても、初心者の方はなんとなく実施していることが多く、まずはしっかり基本を抑えることが重要です。
⬇︎【金魚の薬浴の方法に関してはこちら】
金魚の穴あき病はうつるのか
水槽内で複数の金魚を飼育している場合、1匹の個体が穴あき病に感染した場合、他の個体にもうつるのか気になる方もいると思います。
結論としては、穴あき病はうつることもあれば、うつらないこともあります。
穴あき病の原因菌である、エロモナス・サルエニシダは金魚が生活している環境であれば少なからず生息している「常在菌」であり、健康で抵抗力のある金魚であれば感染しません。
複数の金魚を同じ環境で飼育している場合も、抵抗力の強い個体であれば、原因菌がうつって穴あき病になることはありません。
ですが多くの場合、穴あき病が発生した水槽には「抵抗力が弱くなる原因」があります。
原因に適切に対処して予防しないと、いくら抵抗力の強い個体でも、穴あき病を発症する危険が高まります。
穴あき病の感染を予防するために
穴あき病は細菌性の感染症です。
原因菌は金魚の生活圏であればどこにでも生息していることから、原因菌が「増えない環境づくり」と細菌に「感染しにくい体調管理」がポイントです。
水質の悪化を防ぐ
春や秋は、冬や夏と違って水温の変化が激しため、ただでさえ金魚は体調を崩しがちです。
餌やりの量も調整しづらい時期であるため、水換えをおこたることで、水質の悪化し、感染症への感染に繋がります。
水換えをこまめに行うなど、できる限り金魚が健康に生活できる環境を整えるようにしましょう。
穴あき病の原因菌であるエロモナス菌は「水質が悪化すると増殖」します。
⬇︎【金魚の水換えに関してはこちらで詳しく紹介しています】
過密飼育をしすぎない
金魚は排泄量が非常に多い生き物であることから、小さな金魚であっても、45cm水槽で2〜3匹以上飼育することは難しいです。
それよりもたくさんの数の金魚を飼育する場合は、濾過器の性能だけでは水質の維持が不可能なので、2日に1回は水換えを行うなどの対応が必要です。
感染症系の病気全般に言えることですが、その多くは「水質の悪化」が原因であることが多いです。
過密飼育は、水質の悪化に直結します。
できる限り飼育者のライフスタイルに合わせた飼育をすることをおすすめします。
一度でも金魚を病気にしたことがある方は、金魚の病気の予防に関して一度考え直してみる必要があります。
金魚がなるほとんどの病気は普段の飼育で「予防」することが可能です。
⬇︎【金魚の病気の予防に関してはこちらで紹介しています】
穴あき病が完治したら
塩浴、薬浴と一通りの処置を終え、金魚が穴あき病から完全に完治できたタイミングで、元の水槽に戻してあげましょう。
穴あき病は、赤斑病や尾ぐされ病に並んで、「水質の悪化」によって発生しやすい病気です。
完治後は普段以上に水質には気を配り、水換えの頻度を多くするなど、再発を防ぐ飼育方法を模索しましょう。
今回紹介した穴あき病の治療方法は、薬の種類を変えれば他の病気でも対応可能です。
金魚の病気に対処する基本的な内容ですので、マスターして今後の金魚ライフに活かしていきましょう。
⬇︎【金魚の薬浴の方法に関してはこちらで紹介しています】
⬇︎【金魚の水換えに対する考え方に関してはこちらで紹介しています】