金魚のイカリムシ症の症状と治療方法について、初めてイカリムシと遭遇する方にもわかりやすく紹介しています。
イカリムシ症という名前は、金魚を含む、世界中の魚に寄生する「イカリムシ」と総称される「寄生虫」に由来します。
イカリムシは身近な金魚の寄生虫であることから、症状の特徴や治療方法がはっきりしており、初心者の方でも問題なく対処可能です。
イカリムシに寄生された金魚は、自然治癒しません。飼育者による、適切な駆除が必要です。
金魚飼育を続けていると、必ず遭遇する寄生虫です。
この機会に「イカリムシの症状と治療方法」をマスターしてしまいましょう。
この記事では、インスタグラム上の投稿をピックアップし、金魚のイカリムシの画像を閲覧できるようにしております。
また投稿の最後に、イカリムシの薬浴に便利な濃度計算表(自動計算)へのリンクを掲載しています。
誰でも完璧な濃度で塩浴や薬浴の量の計算ができます。ぜひご利用ください。
金魚のイカリムシ症とは
イカリムシは、その名の通り、船のイカリのような形をした頭からその名がついた寄生虫です。
大切な金魚の体に、ある日細長い糸のようなものを見つけたら、まず間違いなくイカリムシに寄生されています。
そのままだと水槽内で大量に繁殖してしまうため、駆除と適切な治療が必要です。
イカリムシの特徴
イカリムシの特徴をまとめています。
金魚の体表に寄生しているのが、イカリムシかどうかを見分けるのに重要なポイントです。
ぜひ参考にしてください。
イカリムシの色
一般的なイカリムシは灰色や、白い色をしています。
ですが、金魚に寄生するほとんどの寄生虫が半透明〜灰色、白い色をしているため、色だけでイカリムシを見分けるのは困難です。
イカリムシの形
イカリムシの形は、その名の通り頭部が船のイカリ(錨)の形をしており、細長いことが特徴です。
頭部のイカリの部分は金魚に寄生している際は肉眼での確認は難しく、多くの場合、細長い胴体部分がゆらゆらとしているように見えます。
この胴体は途中でちぎれても再生するため、駆除をする際はレスバーミンという専用の薬を使用し、胴体がちぎれないように頭部から抜き取る必要があります。
イカリムシの大きさ
イカリムシの大きさは8mm〜10mm(1cm)で、肉眼でもはっきりと確認することができます。
イカリムシは金魚の体表であれば所構わずどこにでも寄生しているため、初めて発見した際は「ヒゲでも生えたのかな?」と感じることがほとんどです。
金魚に寄生する寄生虫の中では大きめの部類であり、肉眼でも発見しやすいことから適切な治療を行うことで誰でも駆除することが可能です。
イカリムシの侵入経路
イカリムシはどこからやってきて金魚に寄生するのか、気になる方もいると思います。
イカリムシは一度寄生すると、一匹が数百匹に増えるため、金魚から金魚へ、どんどんと寄生を拡大していきます。
イカリムシは空を飛んだり、水中以外を移動することはできません。
新しく金魚をお迎えした際に、その販売店から持ち込まれることがほとんどであり、新規導入の際は必ずトリートメントを行う必要があります。
イカリムシの侵入を防ぐ、金魚のトリートメントに関してはこちらで詳しく紹介しています。
イカリムシの生態
イカリムシは金魚に寄生し、体液を吸うことで成長、繁殖を行います。
白点病の原因である白点虫が金魚の体表の粘液を食べるのに対して、イカリムシはそのイカリの形をした頭を金魚の体表に突き刺し、固定して体液を吸いながら生活をします。
そのため、多くの場合、イカリムシに噛みつかれた箇所が赤く炎症していることが多いです。
⬇︎【白点病に関してはこちらにまとめています】
一度噛み付くと一生離れることはなく、噛みついたまま、成長と産卵を繰り返します。
成虫の寿命は2ヶ月ほどで、その間に実に15回以上も産卵を繰り返します。
繁殖したイカリムシは隔離された水槽内では特定の金魚だけに寄生し、大量のイカリムシに寄生された金魚はやがて衰弱し、噛みつかれた箇所から細菌に感染するなどの二次感染を併発します。
よほど重症にならなければ、すぐに死んでしまうようなことはないものの、見つけ次第なるべく早く適切な対処をすることが重要です。
金魚の体表やヒレに、細長い棒状の糸のようなものがくっついていれば、ほぼ間違いなくイカリムシです。
イカリムシが増殖し、大切な金魚に大量に寄生されてしまう前に、適切な処置を行いましょう。
イカリムシの治療と駆除方法
イカリムシの治療と駆除方法を紹介しています。
大きく分けて、本体の駆除と、幼体の駆除、寄生された金魚の治療の3つの工程があります。
合計で2回、薬浴を行う必要があると覚えておきましょう。
水槽の中という閉ざされた環境において、イカリムシが「自然治癒」することは絶対にありません。
必ず、これから紹介する方法で駆除を行ってください。
- 薬浴は合計2回行う必要がある
1. イカリムシ本体の駆除
まずは、イカリムシの本体を金魚から引き抜きましょう。
初めての方は、想像以上にイカリムシが力強く噛み付いていることに戸惑うかもしれません。
金魚をネットですくって水面まで引き上げ、イカリムシをピンセットでつまみます。
引き抜く途中で切れないように、根本の頭の部分をつまんでまっすぐに引き抜きます。
途中で切れた場合は、そこから再生し、再度増殖してしまうので、確実に引き抜きましょう。
金魚は水面から完全にひきあげてしまうと、暴れてしまいイカリムシを引き抜くことができません。
ネットですくった金魚を水面ギリギリまで浮上させ、ある程度動きを制限して作業を行いましょう。
2. イカリムシの幼体の駆除
イカリムシの本体はピンセットで引き抜くことで駆除できますが、卵や幼体は水中を漂っています。
これらを駆除しない限り、成長したイカリムシが何度も金魚に寄生してしまいます。
幼体の駆除には、専用の駆除剤を使用しましょう。
ここでは代表的なものを記載しておきますので、価格や使用しやすさも考慮し、自分に合ったものを選びましょう。
イカリムシ症に効果のある薬
- レスバーミン(リフィッシュ)
- マゾテン20
- トロピカルN
レスバーミン(リフィッシュ)
イカリムシやウオジラミなどの、金魚に寄生する寄生虫に幅広く効果があります。
効果も高く、白点病などの他の寄生虫にも利用可能であるため、もっともオススメの薬です。
注意点としては、水量100ℓに対してリフィッシュ0.4g-1gが用量であるため、30〜45cmほどの小型水槽や薬浴用の容器(トリートメントタンク)だと適量が計測しづらいことが挙げられます。
レスバーミンの計量に関しては、水槽のサイズや水量を入力するだけで誰でも自動で適切な量を計量できる計算表があります。
ぜひお使いください。
※2022年現在リフィッシュは製造が中止され、代わりにレスバーミンが販売されています。
マゾテン20 ※販売中止
有効成分のトリクロルホン(メトリホナート)が20%に含まれています。
幼体期のイカリムシ・うおじらみを駆除します。
安全性も高く、液体であることからスポイトなどでの計量もしやすいですが、水量100ℓに対して、わずか0.25mlで効果を発揮することから、計量方法には注意してください。
その分、よほど頻繁に寄生虫による病気を頻発しない限り、コスパは抜群の薬と言えます。
※2023年現在販売中止になっています。
トロピカルN
イカリムシ、ウオジラミの駆除だけでなく、寄生による外傷の治療にも効果があります。
小さなサジが同封されており、すりきり1杯で約2g、200ℓの水量に使用します。
こちらも一般的な水槽の水量だと計測が難しいことから、適切な方法で計量をする必要があります。
金魚の薬の測り方に関してはこちら
トロピカルNに関しても、水槽のサイズや水量を入力するだけで誰でも自動で適切な量を計量できる計算表があります。
※トロピカルNも2023年現在、インターネット上での販売が確認できておらず、店舗の在庫を探すしかないため、イカリムシの治療には「レスバーミン」の使用をおすすめします。
薬浴の注意点
イカリムシの治療を行う上で、薬浴は必須です。
たとえ水槽のリセットを行う場合でも、よほど金魚の全身をくまなくチェックできている場合を除いて、薬浴で駆除をした後にリセットを行うようにしましょう。
イカリムシの薬浴で注意する必要がある、寄生虫の駆除特有の注意点を紹介しています。
薬浴は必ず2回行う
紹介したこれらの薬は、幼体には効果がありますが、卵には効果がありません。
薬浴を1週間行い、水換えを行なったのちに、再度2回目の薬浴を行いましょう。
卵が孵化し、幼体になっていれば薬によって駆除されます。
2サイクルほど薬浴を行えば、ほとんどのイカリムシが駆除されているはずですが、念のため、再発していないかよく観察するようにしましょう。
卵には薬が効かないということを考慮し、複数回薬浴を行うことが治療成功の秘訣です。
金魚の傷口の治療も忘れずに
イカリムシは、そのイカリの形をした鋭い顎で金魚の体に噛みつきます。
噛みつかれた箇所は、赤く腫れることが多く、傷口から細菌などが感染すると他の病気や感染症を併発する可能性が高いです。
塩浴を行いつつ、できれば駆除剤とともにグリーンFゴールドやエルバージュエースなどを薄めに添加することで、傷口からの二次感染を防ぎましょう。
塩浴は金魚の自然治癒力を高めるため、非常に効果的です。
金魚の塩浴の方法に関してはこちら
金魚の薬浴や塩浴を行うとき、薬や塩の量の計算が自動でできる計算表を作成しました。
ぜひ普段の金魚飼育にご活用ください。